リーガ・エスパニョーラ第31節、バルセロナの本拠地カンプ・ノウでリーガでの公式戦としては232試合目となるエル・クラシコが開催され、1-2でアウェイのレアル・マドリードが逆転勝ち。バルセロナの無敗記録を39で止め、4-0で敗れた本拠地サンチャゴ・ベルナベウでの借りを返した。
スペインに限った話しではないが、ここ数年リーグ戦の注目度を下げないためにもチャンピオンズリーグ等に近い日程で組まれる事が多くなっているリーグ戦のビッグマッチ。
今シーズン2回目のエル・クラシコはチャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグの直前、さらにインターナショナルマッチウィーク明けの1試合目に組まれている。
そしてさらに2016年3月24日。FCバルセロナのレジェンドであるだけでなく、現代のサッカー界全体を語る上でも欠かすことが出来ない人物、ヨハン・クライフ氏が死去。
バルセロナにとってこのクラシコは、ヨハン・クライフの追悼マッチという意味も加わる事となった。
エル・クラシコのここまで231試合の通算成績は、バルセロナが91勝、レアル・マドリードが92勝、そして引き分けが48。この試合でもしバルセロナが勝利すれば通算成績でイーブンに並ぶ。
バルセロナの先発メンバーは、クラウディオ・ブラボ、ジョルディ・アルバ、マスチェラーノ、ピケ、ダニエウ・アウヴェス、セルヒオ・ブスケッツ、ラキティッチ、イニエスタ、ネイマール、スアレス、メッシ。のベストメンバー。
両チームの勝ち点差が10あり、この試合を長いシーズンの中の1試合と考えると、インターナショナルマッチウィークでヨーロッパ選手権前のテストマッチを戦っているヨーロッパ勢とは異なりワールドカップ予選という真剣勝負を戦ってきた南米勢は休ませるという選択肢もあるだろうが、エル・クラシコであり、さらにクライフ追悼マッチではそういう選択はできないだろう。
レアル・マドリードの先発メンバーは、ケイラー・ナバス、マルセロ、セルヒオ・ラモス、ぺぺ、カルハバル、カゼミーロ、モドリッチ、クロース、クリスティアーノ・ロナウド・ベンゼマ、ベイル。
前回のクラシコでは出番が無かったカジミーロはアンカーのポジションでで先発となっている。
感動的な追悼映像が流され、さらにイムノが流れる選手入場の際にもスタジアム一面でクライフに感謝を伝えるの美しいコレオグラフィーが作られ、キックオフを迎えた。
レアル・マドリードのフォーメーションは4-3-3。クリスティアーノ・ロナウドが左サイド、ベイルが右サイドに入っている。一方のバルセロナはメッシ以外の選手は4-3-3の並びだがメッシは右サイドにおらず中央にポジションを取っている。
立ち上がりからレアル・マドリードはベイルとクリスティアーノ・ロナウドも守備のポジションを取りしっかりと守備をしてからの攻撃を狙う姿勢を見せるが、主導権を握ったのはバルセロナ。
ボールを保持しながらメッシがおらず空いている右サイドにラキティッチやダニエウ・アウヴェスが出てくる動きをレアル・マドリードは掴みきれず、またそちらを気にし過ぎると逆サイドではイニエスタがレアル・マドリードの中盤3人の横でボールを受ける形に翻弄。
10分のゴールキックのこぼれ球を拾ったネイマールがドリブルで運び中央で抜け出しフリーとなっていたスアレスに折り返した決定機はスアレスは空振りしてしまい決められなかったものの、19分にはスアレスの折り返しのこぼれ球を拾ったラキティッチが左足でシュート、24分にはノーファールとのジャッジとなったがボックス内でセルヒオ・ラモスがメッシを倒してしまう等、試合は圧倒的なバルセロナペースとなっていった。
しかし30分を過ぎると時折レアル・マドリードも攻撃の形を作り始める。
起点となっていたのはこちらもメッシのいない右サイド。バルセロナがボール保持する時間が長いので数多くという訳ではなかったが、レアル・マドリードはフリーとなっているマルセロを使って攻撃をする場面も見られるようになり、前半終了間際の42分にはバルセロナがネイマールの折り返しが流れた所からダニエウ・アウヴェスがフリーでミドルシュートを放つ場面を作るが、直後の43分にはレアル・マドリードがカルハバルからの折り返しをボックス内でフリーとなっていたベンゼマがボレーシュートを放つ場面も作り出した。
後半の立ち上がりもバルセロナペースは変わらない。
54分、メッシがスアレスにボールを出した後そのまま前に飛び込んでいかずにピタッと止まってスペースを作り出すと、スアレスからのリターンパスを受けたメッシは意表をついたループシュート。GKのタイミングを外したかと思われたこのシュートだったが、ケイラー・ナバスは右手一本で弾き出した。
しかしこのプレーで得たCKが3本続いた所でついにバルセロナが先制。56分、ラキティッチのCKをピケが頭で合わせた。
CKが3本続く中でぺぺにマークされていたピケをなんとかフリーにしようとバルセロナは様々な動きを見せており、3本目ではネイマールがスクリーンとなってあけた所にラキティッチがピタリと合わせてみせた。
バルセロナが先制した事で試合は決まってしまうかと思われたが、レアル・マドリードはメッシが中央にいる事で空いているスペースを使い直後に同点に追いつく。
62分、ジョルディ・アルバのミスパスからレアル・マドリードがボールを奪うと逆サイドに展開すると、フリーのマルセロが中央へ向かってドリブル。ディフェンスを引きつけてから外側のクロースへ展開し、その折り返しをベンゼマがボレーで決めレアル・マドリードが同点に追いついた。
このゴールで試合は一気にレアル・マドリードペースに。バルセロナは右サイドを攻守に渡って埋めており疲労の色がより濃いラキティッチに代えてアルダ・トゥランを投入しなんとかペースを取り戻そうとするが、80分にクリスティアーノ・ロナウドの折り返しをベイルが頭で叩いてゴールネットを揺らすもここはファールでゴールは認められず、82分にはマルセロからのパスを受けたクリスティアーノ・ロナウドが右足ではなったシュートはクロスバーに弾かれると、次々とチャンスを作り出しレアル・マドリードの勢いは衰えない。
83分にセルヒオ・ラモスがスアレスへの不用意なタックルで2枚目のイエローカードで退場となったが、レアル・マドリードはそれさえも物ともせず、85分に右サイドからベイルの折り返しをクリスティアーノ・ロナウドが胸トラップ落ち着いて決めゴール。レアル・マドリードが1-2と逆転に成功した。
その後バルセロナも前がかりになりゴールを狙ったが試合はそのまま終了。レアル・マドリードが4シーズンぶりにカンプ・ノウでのエル・クラシコに勝利した。
またこの敗戦でバルセロナの無敗記録も39でストップ。
バルセロナは前節のビジャレアル戦でも2点差を追いつかれリーガ連勝記録を12で止められており、2試合続けて記録がストップすることとなった。