2015-2016 ブンデスリーガ 26節ドルトムントvs.マインツ


☆2016年3月14日 WSCスタッフ呟き☆

ブンデスリーガ第26節、2位ボルシア・ドルトムントは本拠地シグナル・イドゥナ・パルクで5位マインツと対戦し2-0の勝利。香川真司は3試合ぶりに先発出場となり2点目のゴールを決めた。また、この時期は日本から大学などの卒業旅行でサッカー観戦するファンも多いため、大いにこのファンたちも楽しんだであろう。

香川真司は3試合ぶりの先発

前節バイエルン・ミュンヘンとの首位決戦に引き分け勝ち点差は5のまま変わらず、逆転優勝の為には勝ち続けるしか無いボルシア・ドルトムント。
先発メンバーは、前線にロイス、オーバーメヤン、ムヒタリアンが入り、中盤には3試合ぶりの先発となる香川、シャヒンとカストロ、最終ラインにはシュメルツァー、フンメルス、ソクラテス、ドゥルム、GKにビュルキとなり、シャヒンがアンカーにポジションを取る4-3-3(4-1-4-1)となっている。
一方、前々節にバイエルン・ミュンヘンに勝利したマインツ。現地紙ではこの試合でもバイエルン戦でも使用した5バックの可能性もあるとの報道もありましたが、フタを開けてみるといつもの4-2-3-1。
武藤は左膝の負傷のためベンチ外となり、1トップにはコルドバ、2列目にはハイロ、マリ、クレメンスが並び、ボランチにはフライとバウムガルトリンガー、最終ラインはビュスマン、ベル、バログンとドナーティーの出場停止を受けてブロジンスキ。GKには守護神カリウスが入っている。
キックオフ前に大迫力のゴール裏スタンドから「You'll Never Walk Alone」の大合唱があり試合が始まった。

コンパクトな布陣による潰し合い

ドルトムントの守備は4-1-4-1にセットする形と前線からプレッシャーをかけにいく形の2本立て。一方のマインツもセットする形と前線からプレッシャーをかけにいく形を併用するが、マインツはプレッシャーをかけにいく時は4-4-2、セットする時はトップ下のマリがシャヒンをみる形の4-4-1-1となっている。
立ち上がりはお互いコンパクトな布陣で中盤での潰し合い。ドルトムントは香川とカストロとインサイドハーフに入る2人のポジションの高さを変える事でマインツのコンパクトなブロックを動かそうとするが、マインツはブロック内に入ったボールに対してしっかりとプレッシャーをかけ、ドルトムントに思うような攻撃をさせない。
ただ、その中でも可能性を感じさせたのはドルトムント。ドルトムントにはマインツのブロックを動かそうという狙いは見えるが、マインツは前線のコルドバがソクラテスの前に全くボールを収めることができないので縦パスも厳しく、またカウンターも繰り出せないので、徐々にドルトムントに試合のペースが傾いていく事となる。
マインツにとって24分にあったCKのこぼれ球をベルがシュートを放った場面は、シュートはカストロにブロックされたが、この試合唯一の決定機といっても良い場面だった。

カストロの個人技を起点とした先制ゴール

試合を動かしたのはやはりドルトムント。30分にカストロがブロックの外で受けたところからドリブルでマインツボランチの間を割ってブロック内に侵入。このプレーで守備のバランスを崩したマインツがロイスをフリーにしてしまい、カストロからのスルーパスを受けたロイスが落ち着いて決めゴール。ドルトムントが先制する。
このカストロのプレーは、この試合では隣に入り、また同じポジションを争う事も多い香川には出来ない彼の特徴がよくあらわれたプレーだった。
しかし香川にもカストロに出来ないプレーが出来る。
そんな特徴が見られたのは得点直後の32分シュメルツァーのクロスにオーバーメヤンとムヒタリアンが飛び込むがカリウスが防いだ場面。シュメルツァーが上がっていくことができたのは香川が中盤で動きながらボールを受けターンして相手マーカーを外したプレーから。
ブロックの中や外を出入りし、動きながらボールを受けターンをする動きは香川にしか出来ないプレーだった。
ただ、この場面を含めて香川のその能力はもっと相手ゴールに近い場面でアシストやフィニッシュに絡む事で輝く技術。しかしこの試合では高い位置であまりボールに絡めず、あまり特徴が出せているとはいえなかった。

ドルトムントは4-2-3-1に

前半は4-1-4-1ながら香川が高い位置、カストロが少し低い位置と不均衡なポジションをとっていたドルトムントは、後半に入るとカストロが右ボランチ、シャヒンが左ボランチ、香川がトップ下となる4-2-3-1に布陣を変更。
これで香川が高い位置でプレーに絡みやすくなり、後半の立ち上がりには香川がブロックをすり抜けていく形でマインツゴールに迫るがカリウスの飛び出しの前に防がれてしまった。
とはいえ後半はもはや完全にドルトムントペース。
51分にはシャヒンのパスから、続けざまに52分にはパスミスからとオーバーメヤンが決定的なチャンスを2度迎えるが、そこに立ちはだかったのはマインツの守護神カリウス。
この後もドルトムントは何度もマインツゴールに迫るがカリウスが止め続け、またそのプレッシャーからかドルトムントの選手もシュートを外し続けた。

試合を決める2点目は香川真司

圧倒的にドルトムントペースになっているとはいえまだ1-0。これだけ外し続けていると、事故で追いつかれる事もあるのではないかとの不安もよぎり始めた73分。香川がボールを受けたところから一旦はボールを奪われるが、こぼれ球を拾って左サイドに展開。抜けだしたオーバーメヤンのクロスを、フリーになっていた香川が詰めて2点目のゴール。
ここまで何度も決定機を止めてきたカリウスだったがついにゴールを割られ、試合の大勢が決まった。
とはいえこの後もドルトムントには何度もチャンスはあったが、それもカリウスが止め続けたので試合はこのまま2-0で終了。ドルトムントの勝利に終わり、この勝利でドルトムントはバイエルン・ミュンヘンとの勝ち点差は5のまま。まだ逆転優勝の可能性を残す事に成功している。

後半途中から雰囲気が変わったスタジアム

実はこの試合中にスタジアムの雰囲気が大きく変わった。
異変を感じたのは60分頃。いつもは常に大声援が聞こえるスタジアムなのだが、この頃からドルトムントの応援歌が聞こえなくなった。最初はドルトムントの応援歌だけが聞こえなくなり、続いてその後マインツの応援歌も聞こえなくなった。
そして香川の2点目のゴール後もゴールに対する声援はあったが、コール・アンド・レスポンスは行われず、その後再びスタジアムは静かになった。
これは、この試合中ドルトムントサポーター2人が心臓の問題で倒れ、その内1人がお亡くなりになられるという悲しい出来事が起こったからとの事。
スタンドのサポーター達は後半途中でこの悲しい出来事を知り、両チームのサポーターは応援歌をやめたそうです。
選手がそれを聞いたのは試合終了直後で、試合終了直後には大型ビジョンと場内アナウンスでその旨が伝えられていた様子だったが、試合終了直前の87分を過ぎた頃と、選手がその事実を知った試合終了後に、歌詞にある「たとえ夢破れようと 希望を胸に抱いて行こう 君は独りぼっちじゃないんだ」との思いを込めて「You'll Never Walk Alone」の大合唱でスタジアムは包まれていた。

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