1月31日の男子決勝でジョコビッチ選手が優勝して2016全豪オープンは幕を閉じた。日本人の夢、錦織選手のグランドスラム初優勝は成らなかったが、復調の兆しは見えたのだ。それにしてもジョコビッチ選手の強さが目立った大会であった。錦織選手の試合であるが、1回戦と4回戦は安心して見ることができた。コールシュライバー戦はドローが決まった時点では心配したが問題なく錦織選手が勝利したのである。悪夢の再来かと心配した3回戦、ガルシアロペスとの試合は、1セット、2セットは錦織選手の思い道理には行かなかったが、3セット、4セットは錦織選手らしさが蘇ってきたのである。1セット終了後に取ったメディカルタイムアウトは嫌な予感がしたが、何ともなくて本当に良かった。
1回戦のコールシュライバー、2回戦の旧友との戦いに勝利して、いよいよこれからと言うのが3回戦からである。相手はシード選手で、プレイスタイルも錦織選手とよく似ているのである。ビッグサーバーではないがコートサイドぎりぎりに打ち込むサービスは威力があった。流石の錦織も簡単にはリターン出来ないのである。立ち上がりはお互いにサービスキープするが第7セットで試合が動いた。錦織のサーブはこの試合の立ち上がりは調子が悪く、サービスゲームを簡単にキープできなかったのである。先手を取ったのはガルシアロペスであった。錦織のサービスゲームをブレイクして3-4とリードを許す。第8.9ゲームはお互いにサービスキープでスコアは4-5となり、第10ゲームはガルシアロペスのサービスであった。このゲームは落とすのかと心配したがブレイクバックに成功して5-5となる。ここで注目すべきは第9ゲームであった。錦織はこのゲームをラブゲームでキープしたのが潮目が変わるポイントであったように見える。錦織はサービスゲームをラブゲームあるいはそれに近いスコアで乗り切ると次のゲームをブレイクできるチャンスが訪れるのだ。第一セットのポイントは第9ゲームであった。第二セットの最初に錦織はメディカルタイムアウトを取った。右手首に包帯を巻いているのが見える。またも体調不良かと心配になるのだ。予感が的中し第一セットはブレイクされてしまうのである。残念ながらこのセットは2ブレイクを許して落としてしまう。このゲームの流れを変えたのはまたしても錦織のサービスゲームであった。第三セットの第一ゲーム錦織はラブゲームで1-0と幸先良くスタートしたのだ。その後は安心して見ていられたのである。2セットを連取して3-1でガルシアロペスに勝利しベスト16入りを果たした。
2015年の全仏オープンで、接戦の中で(2-3)でツォンガに惜敗する。今回は全仏のリベンジゲームなのだ。ツォンガ選手は強烈なサーブとフォアハンドが得意な選手である。錦織選手はツォンガ選手のバックハンドを攻めて、得意のフォアハンドを許さない。錦織選手はこの日はサーブの調子が良くサービスゲームを難なくキープする。勝負の分かれ目は第8ゲーム、ツォンガが錦織のサービスゲームをブレイクバックし、自身のサービスゲームである第9ゲームをラブゲームで取った後の第10ゲームであった。錦織がツォンガに傾きかけた流れを止めたのだ。このゲームをラブゲームで取って流れを再び錦織に引き戻したのである。これで錦織の勝ちが見えてきた。結局は6-4、6-2、6-4と危なげない勝利であった。勝因はツォンガ選手のサーブの調子が良くなかった事と、得意のフォアハンドを封じたことにある。今後はツォンガ選手に負けることはなさそうである。錦織選手の完勝であった。この勝利でジョコビッチ戦での「勝ち」を予測した人もいたのだが、残念ながらジョコビッチには歯が立たずに完敗してしまったのである。
18歳の新星、大阪なおみ選手は期待が持てる大型新人選手である。身長が180センチ、サーブの速度が200キロと男子並みなのだ。予選3試合を勝ち抜き本選に出場する。第二試合に世界ランク18位の選手にストレート勝ちして世間を驚かした。残念ながらこの試合で腹筋を痛めて第三試合は元世界チャンピオンのアザレンカ選手にストレートで敗退する。しかしながら世界50位以内の実力はあると言っていいだろう。将来が楽しみである。
ジョコビッチ選手、第4回戦では薄氷を踏む勝利であったが立て直しは素早いのである。錦織を簡単に破り、以後は破竹の勢いで優勝する。ランキング3位のフェデラー、2位のマレーも歯が立たなかった。ジョコビッチ選手はビッグサーバーではないが総合的に優れている上に、メンタルコントロールや健康管理が抜群に良いのだ。錦織もこの点はジョコビッチ選手に教えを請うと良いのである。