2016-2017 バルサ前半戦レビュー

クラシコ


ルイス・エンリケ監督就任後リーガ・エスパニョーラ2連覇を達成しているFCバルセロナですが、2016-2017シーズンは開幕節こそベティスに大勝し首位となったものの2節以降はリーグテーブルのトップに立つことなく第17節終了時点で3位となっています。

チーム編成

2016-2017シーズンを戦うにあたって今季のバルセロナはレンタル移籍も含めて13名の選手が他チームに移籍しています。その中でも大きなトピックだったのはGKクラウディオ・ブラーボとダニエル・アウベス。この2人は昨シーズンの主力選手でした。
そして加入はレンタル復帰も含めて11名。パコ・アルカセルやユーロ2016でもフランス代表としてプレーしたサミュエル・ユムティティもいますが、アンドレ・ゴメスやデニス・スアレスなど中盤の選手が多いのが特徴的。つまり右SBとして長年バルセロナを支えてきたダニエル・アウベスのかわりになる選手は獲得していません。
それにより右SBのファーストチョイスになっているのは、昨シーズンまでは中盤を務める事も多かったセルジ・ロベルトとなりました。
また開幕後にチームを去ったクラウディオ・ブラーボが務めていたGKのファーストチョイスとなっているのは昨年まではカップ戦でプレーする事の多かったテア・シュテーゲンとなっています。
中盤に関しては、インサイドハーフでチームを支えてきたラキティッチ、イニエスタの主力に加えてアンドレ・ゴメス、デニス・スアレスを加えたことでさらに充実度を上げ、前線はメッシ・スアレス・ネイマールのMSNに加えバックアッパーとしてパコ・アルカセルを獲得したことでアクシデントにも対応できる体制としています。

3シーズン目となるルイス・エンリケ体制

過去2シーズンはリーガ優勝を達成しているものの、ルイス・エンリケ体制はこれまでも紆余曲折がありました。1シーズン目に大きなニュースとなったのはメッシら主力選手との不仲説。
イタリアでの監督経験もあるルイス・エンリケはチームに新しいものを吹き込もうとしますが10節には4位にまで順位を落とし、その後持ち直すもののレアル・マドリードが首位となるなかチームは2位のまま。危険な状態に陥りかけますが、ルイス・エンリケはここでメッシら前線の選手に自由を与えることを選択し逆転優勝を達成します。
そして迎えた2シーズン目は、この前線の選手に与えた自由の進化型といえる前線のMSNによる強烈なカウンター攻撃が機能。リーグ終盤に失速しかけますが、そこまでで積み重ねてきたリードを守りきり11節以降1度も首位の座を明け渡すことなく、レアル・マドリード、アトレティコ・マドリードを振り切りリーガ2連覇を達成します。
そして迎えた3シーズン目となる2016-2017シーズン。
しかし今シーズンは既に5つの引き分けと2敗を喫しており、1得点以下の試合も8試合と昨シーズンに見せていたような安定した強さを発揮しているとは言い難い状況となっています。
その最大の要因は、自らというよりも対戦相手による対策が進んできたことであることは間違いありません。しかし逆に言えばその対策に対して、バルセロナが有効な対策を打ち出すことが出来ていないということでもあります。

象徴的だったレアル・ソシエダ戦

バルセロナにとってビッグマッチと言えばエル・クラシコと呼ばれるレアル・マドリード戦が最大のものではありますが、最も苦手としているのがアウェイでのレアル・ソシエダ戦。レアル・ソシエダの本拠地アノエタでは昨シーズンまでの6試合で1分5敗と大の苦手としています。
2016-2017シーズン、そんなアノエタでのレアル・ソシエダ戦が行われたのが11月27日の第13節。この試合ではオフサイドの見逃しもあって何とか1-1の同点で終える事が出来ましたが、試合は終始レアル・ソシエダが圧倒。レアル・ソシエダの高い位置からのプレッシングに対してボール保持を信条とするバルセロナがシュート数はもちろんポゼッション率でも、パス成功数でも劣る事に。
そしてその翌節に行われたレアル・マドリードとのクラシコでも試合終了間際にセルヒオ・ラモスの一撃を喰らい同点に追いつかれてしまいます

ルイス・エンリケは改善する事ができるか

アノエタでレアル・ソシエダが行ったアンカーに入るブスケツまでも狙ったプレッシングに対して、もし以前監督を務めていたグアルディオラならおそらくポジショニングを変化させることで相手のプレッシングの基準となるポイントを動かし、相手に解決しなければ問題を突きつけるという方法を選択していたでしょう。
しかし今シーズンのバルセロナを見ているとおそらくルイス・エンリケはそのような方法はとらず、人の選択と守備陣形の調整でカバーしようとすると思われます。
その形が見え始めているのが守備時に4-4-2になる形。
バルセロナの基本フォーメーションは4-3-3ですが、守備時には最終ラインは変わらないものの、中盤は左WGのネイマールを左SHに下げ、中盤の3人はラキティッチが務める事が多い右のインサイドハーフを右SHに、左のインサイドハーフに入る事が多いイニエスタと、アンカーを務めるブスケツが中央で並び、前線にメッシとスアレスが並ぶ4-4-2。今シーズンはこの形を見せる事が多くなっています。
実際今のところこのレアル・ソシエダ戦でも機能しているとは言えない時間帯も多くありましたが、その翌節のクラシコでも部分的に採用。
その後もこの形でプレーする時間をふやしつつあります。
この4-4-2への変化はジダン監督が今季好調のレアル・マドリードでも行っている形ですが、バルセロナがこの形で内容と結果を掴み始めた時、逆転優勝の可能性が広がってくるかもしれません。

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