ブンデスリーガ第25節、2位ドルトムントが本拠地シグナル・イドゥナ・パルクに首位バイエルン・ミュンヘンを迎えての首位決戦は0-0の引き分けに終わり勝ち点5差は変わらず。香川真司はベンチ外だった。
前節バイエルンはまさかのマインツに敗戦し、勝ち点差が5に詰まって迎える事となったこの首位決戦。ドルトムントとしてはこの試合に勝利し勝ち点差2にする事ができれば逆転優勝も現実的なものとなってくる。
敵地に乗り込むバイエルンのメンバーは、この試合に向け前節先発から外し休ませたラーム・シャビ・アロンソ、ドグラス・コスタ、ミュラー、キミッヒらは先発復帰。
けが人続出のCBはアラバとキミッヒというおそらく現在起用できるメンバーの中でグアルディオラ監督が最も信頼を置いているコンビが入り、その前にはシャビ・アロンソ。両サイドはロッベンとドグラス・コスタ、中央にはビダルとミュラー、最前線にはレヴァンドフスキが入るシステムとしては4-1-4-1。
一方、バイエルンを迎え撃つドルトムントは、現地では香川の先発やベンチスタートと様々な事前報道が出ていたが結局はベンチ外。アタッカーとしてオーバーメヤン、ムヒタリアン、ロイスの3人と、中盤の選手としてはヴァイグル、ギュンドアンに加えドゥルムが入り、怪我で離脱中のソクラテスに代わってベンダーが入っている。
試合開始前の予想布陣ではベンダーがCBに入り、その前にヴァイグル、ドゥルムがギュンドアンと並んでインサイドハーフに入るこちらも4-1-4-1が予想されていたが、試合が始まるとドゥルムは右サイドに。ドルトムントが選択したのは最終ライン中央に右からピシュチェク、ベンダー、フンメルスの3人が並びその両サイドにドゥルムとシュメルツァー。中盤はヴァイグル、ギュンドアンという5-2-3、またはヴァイグルとギュンドアンの脇にはムヒタリアンとロイスが入る5-4-1という布陣だった。
この布陣は前節バイエルンに勝利したマインツ、そして12月に同じくバイエルンに勝利したボルシアMGが取ったバイエルン対策を参考にしたのだろう。
この布陣だと残念ながら香川のポジションは無い。
立ち上がり早々にチャンスを作ったのはバイエルン。前半5分にドグラス・コスタの折り返しをGKビュルキが弾くがそのボールがミュラーの下へ。ミュラーのシュートは枠を外してしまうが決定的な場面だった。
立ち上がりのバイエルンの決定機を凌ぐと試合が進むにつれて徐々に明らかになっていくドルトムントの狙い。
ドルトムントはバイエルンが最終ラインでボールを持っている時の形は5-2-3。前線の3人でバイエルンの最終ラインを牽制。前線に3人いるのでシャビ・アロンソが最終ラインに降りてSBを上げる形も作りづらい。ならばとビダルが下がる形も見られるがその時はヴァイグルもついていく。ヴァイグルはヴィダルのポジションを常に意識している。となるとミュラーが中途半端なポジションを取ることで浮いてくる可能性も出てくるが、そこは最終ラインから1人出ても4人残る事ができるという利点を活かして最終ラインの選手が前に出て捕まえる。
ドルトムントはバイエルンの最終ラインのビルドアップに細心の注意を払っている。
となると、空いてくるのは両サイド。バイエルンはSBを使ってボールを運ぼうとするが、そうなるとドルトムントは前線の両サイドが中盤に降りて5-4-1の布陣を形成。
高い位置を取るSBはWBが前に出て捕まえ、両サイドには3バックがスライドして対応。4バックだとSBが前にでてCBがサイドに釣り出されると中央は厳しい状況になるが、ここでも最終ラインに5人並べている効果を出してくる。
攻撃では最初の狙いはまず前線3人によるカウンター。高い位置に3人を置いているという事でカウンターも狙いやすい形になっており、前半10分にはオーバーメヤンがスピードを活かしドルトムントにとって最初のチャンスを作っている。
後半に入ると再び5-2-3の形を取り戻すドルトムント。
そして後半最初のチャンスは51分、バイエルンのスローインからの展開から苦しい体制ながらギュンドアンが浮き球でバイエルンの最終ラインの裏にボールを送るとそこに反応したのがオーバーメヤン。しかしその1対1の絶対的なピンチはノイヤーがスーパーセーブを見せ得点を許さない。
しかしバイエルンも、ドルトムントが5-4-1になったところでラームが中央に進出して仕事をするようになり始め、54分にはラーム、ロッベン、ミュラーで右サイドで時間を作るとミュラーのクロスにヴィダルが頭で合わせる場面や、58分にはラームが中に入るとポジションを下げるシャビ・アロンソのスルーパスからロッベンがシュートを放つなどチャンスを作る。
バイエルンは後半このラームが中央に進出する形を中心に攻撃を組み立て、64分にはCKからミュラーが落としたボールをヴィダルがボックス内で強烈なボレーシュートを放つもクロスバーに跳ね返された。
その後も一進一退の攻防が続くこの首位決戦。66分にはドルトムントがフンメルスのロングボールからロイスが落としオーバーメヤンがシュートを放つ場面や、72分にはバイエルンがドグラス・コスタからのパスを受けたロッベンがシュートを放つ場面を作るもどちらも枠に飛ばせなかった。
バイエルンは75分にドグラス・コスタに代えリベリーを投入。ドルトムントはロイスに代えてアドリアン・ラモスを投入とどちらもフレッシュなアタッカーを入れゴールを狙うが決められず、試合終了間際の87分にドルトムントはスピードを活かして抜けだしたオーバーメヤンが右サイドからクロスを入れ、ファーサイドでフリーになっていたアドリアン・ラモスがヘディングで合わせるも枠に飛ばしきれずそのまま試合終了。
非常にハイレベルでエキサイティングな首位決戦は0-0のスコアレスドローで終了した。
この引き分けで勝ち点差は5のままで変わらず。残り9試合で勝ち点差5はまだまだ可能性が残る数字だが、こと相手がバイエルンとなるとドルトムントにとって逆転優勝にとっては難しい結果となってしまった。
試合終了直後にグアルディオラ監督がキミッヒに対して身振り手振りやコミュニケーションを取りながら激しく叱責していた姿も印象に残った
<ACミランvs.ジェノア セリエA 2015-2016シーズン |