お待ちかねの2016全豪オープンテニスが開幕した。今年の錦織圭選手の調子を占う非常に大切な大会だ。オーストラリアは南半球で、日本とは間逆の季節、夏真っ盛りで、この猛暑との戦いも見どころである。初戦はドイツのコールシュライバー選手、ベテランの試合巧者だ。ふとあの悪夢、2015全米オープン初戦敗退を思い出すのである。錦織圭選手の2015年、前半は良く戦った。全仏オープンで少しおかしくなって、途中棄権が二試合ほど続いたのは非常に残念だった。日本の誰もが一番期待していたのはやはり「全米オープン」、2014年の準優勝以上の成績でしたが、幻に終わったのだ。
ノーシードで最も強い選手、コールシュライバー、錦織ファンは心配したのだが、結果として杞憂に終わったのだ。確かにランキングは重要な数字(1年間の成績なのでそれなりに正確)で、通常はランキングが上の選手が勝つことが多いのだが、選手には「相性」があり、例外もまた真なりだ。いざ試合になれば、ランキングは参考にしない方がよいのである(ビッグ3、ジョコ、マレー、フェデラーは別格)。一流のプロは技術的に遜色はないのである。その日の体調やメンタル、対戦相手のプレースタイルで結果は変わるのである。錦織選手の第一セット、第一ゲーム、錦織のサービスが冴えてラブゲームでこのゲームを取る。これでひと安心したファンも多かったのだ。コールシュライバーはビッグサーバーではなく、グランドストロークを得意とする錦織に似たプレースタイルであったことも幸いしたのだろうが危なげのない1回戦であった。錦織のサーブは好調でこの先も楽しみである。
クライチェク選手は錦織圭選手と同じテニスクラブで育った親友だから戦いにくい相手であったし、サウスポーの選手の球筋が右利きの選手の球筋と違う為に、少し心配であったが、ランキング7位と102位ではやはり「役者」が違っていたのだ。第一セットを6-3で取り楽勝かと思われた。しかし山場は第2セット、第10ゲームに訪れる。錦織が5-4とリードして、これでサービスゲームであるから錦織がこのセットも物に出来ると誰もが信じた。ところがである、錦織のサーブが突然乱れてくる。サーブが入らない。クライチェクの粘りもあり、このゲームをブレークされて5-5となってしまったのだ。雲行きが怪しくなってきたと誰もが感じた。その後はお互いサービスキープで6-6、タイブレークにもつれ込んだ。勝負の分かれ目はタイブレーク、最初のクライチェクのサーブを錦織がブレークして1-0とした時点で勝ちがみえて来たのである。結果7-5でタイブレークを制して、このセットも錦織が取る。
日本の女子と言えば奈良くるみ、土肥美咲選手を頭に浮かべる人が多いのだが、彗星のごとく大阪なおみ選手が現れた。アメリカ人と日本人母との間に生れて、身長が180センチで、なんと男子並みの190~200キロのサーブを打てる選手だ。テニスファンも知らなかった人が多かったのではないだろうか。その勝ちっぷりの良い事といったら実に気持ちが良いものだ。1回戦を楽勝で勝ち上がり、2回戦も第17シードの選手をあっさり2-0で勝利したのだ。スコアも6-4、6-4であった。まだ18歳でこれからが楽しみな選手だ。
錦織やトップ選手には手を染めている選手はいないだろう。しかしこれはファンから見て喉にトゲが刺さったように気持ちが良くありませんというより、非常に気持ちが悪いし、不愉快だ。はやく「トゲ抜き」をお願いしたいのである。
錦織圭選手はこのまま進めば4回戦でツォンガ選手、準々決勝でジョコビッチ選手と対戦するのだ。ツォンガ選手は2015全仏オープンで「フルセット」で敗北したが、今回は錦織が勝つだろう。昨年の全仏は錦織の本来の力が出ていなかったと思うのだ。最難関はジョコビッチだ。大きな岩が立ちはだかっているのである。何とかここを突破して決勝までたどり着くことを世界の錦織ファンは期待しているのだ。錦織の調子は凄く良いのだ。心配な事は錦織の「スタミナ」だ。ビッグ3との違いは健康管理にあるように思えてならない。ビッグ3の健康管理は万全であり、昨シーズンで途中棄権は無かったのである。錦織選手が超一流、ビッグ3と肩を並べる、追い越す為には健康管理とメンタルのコントロールだ。技術的にはビッグ3と遜色はないのである。
一方女子では大阪選手、どこまで勝ち進むかは未知数だが、「番狂わせ」する可能性がありとても「ワクワク」するのだ。男子並みの高速サーブの威力と、180センチの長身が魅力的なのだ。足もすらっと長くフットワークも良いし、18歳という若さで怖いもの知らず、伸び盛りなのだ。日本女子の期待の星、頑張ってほしい、両選手の健闘を祈るのだ!