エル・クラシコ 歴史


☆2016年6月26日 WSCスタッフ呟き☆

スペイン語でエル・クラシコ、英語に直訳するとザ・クラッシックと呼ばれるレアル・マドリードvs.FCバルセロナの試合は世界中のナショナルダービーの中でも最も注目を集める試合の1つと言われ、15/16シーズン終了までの公式戦で232試合行われレアル・マドリードが93勝、バルセロナが91勝、引き分けが48試合。2016年4月に行われたクラシコでバルセロナが勝利すれば両者の勝利数が並ぶところでしたが、レアル・マドリードが勝利し引き離しました。(2016.6.26現在)

首都マドリードと商都バルセロナ

マドリードとバルセロナの関係はそもそも首都と商都という一般的ライバル関係だったのかもしれません。しかしこの2都市の関係はこの一般的なライバル関係以上のものを持つことになります。
その大きな要因と言われているのが、1939年スペイン内戦の末に生まれたフランコの独裁政権。1975年にフランコの死去により民主化が進められるまで続いた独裁政権では独自の文化をもつバルセロナのあるカタルーニャ地方とバスク地方を弾圧。カタルーニャ語の使用や独自の慣習を禁止します。ジョゼップ・グアルディオラが生まれたのが1971年ですから古い歴史上の出来事では無いことが理解できるかもしれません。
この弾圧の中で唯一カタルーニャ語が使用できたのが治安警察の警備が及ばないカンプノウ。その結果バルセロナの試合がカタルーニャの象徴となり、中央(マドリード)の象徴であるレアル・マドリードに怒りの矛先が向かう事となります。
1935年に起こったフランコ軍により当時のバルセロナの会長が暗殺された事も大きな引き金となっています。

初対戦は1902年

両チームの対戦が初めて行われたのはレアル・マドリードがスペイン国王からレアルの称号を受ける前、マドリードFCとして創設された年の1902年。まだリーグ戦が行われておらずこの年に国内初の全国大会として開催されたコパ・デル・レイの準決勝で対戦。マドリードFCが発足する3年前の1899年に創設されたバルセロナが勝利しています。
リーグ戦で初のクラシコが開催されたのは1929年。この年から開催されたリーガ・エスパニョーラで共に創設メンバーである両チームが対戦。共にアウェイのチームが勝利し1勝1敗。その後スペイン内戦でリーガ・エスパニョーラが中止となった1936/37シーズンから3シーズンを除き毎年対戦しています。

「マドリディスモ」と「バルセロニスモ」

スペインサッカー界には「マドリディスモ」と「バルセロニスモ」という言葉がある。
他のチームにはなくこの2クラブのみにある言葉、直訳すると「マドリード主義」と「バルセロナ主義」。使われているのはもう少し広義で、サッカースタイル、そしてクラブの哲学に関して使われている言葉です。
この2チームは勝つだけで許されるチームではありません。サッカースタイルでわかりやすいのはバルセロナの方。カンテラーノに型を植え付けボールを支配することでゲームを支配しようとする。誰もがバルセロナのサッカーだとわかるものが存在します。
一方明確な型が無い様に見えるレアル・マドリードでも決して勝てば良いという訳ではなく、ファビオ・カペッロは優勝したにもかかわらずその直後に2度解任されている事からもわかるように勝てば何でもいいわけではありません。
そのレアル・マドリードで言われるのが「レアル・マドリードは紳士たれ」。
ジョゼ・モウリーニョとカシージャスとが対立が問題となりましたが、その原因の1つはその哲学を叩きこまれたレアル・マドリードの生え抜きであるカシージャスとモウリーニョとの価値観の違いにあると言われていました。

禁断の移籍

1950年代には黄金期を迎えたレアル・マドリードがクラシコでも勝利を重ねるようになると、1970年代にはクライフがバルセロナに加入して盛り返す。1980年代にはレアル・マドリードがキンタ・デル・ブイトレの時代を迎え1990年代にクライフがバルセロナの監督に就任。94/95シーズンにはバルセロナが5-0で勝利すると95/96シーズンにはレアル・マドリードが5-0で勝利。両者のライバル関係が純粋なサッカーとしてもさらに盛り上がりを見せる。
そして2000年にはいって最も印象的なクラシコは02/03シーズンのカンプ・ノウでの試合かもしれません。
このクラシコは試合前から異様な熱気に包まれていました。2000年にバルセロナのアイドルだったルイス・フィーゴがレアル・マドリードに移籍。この禁断の移籍に端を発した騒動が最も激化したのがこの年のカンプ・ノウでの試合。CKを蹴ろうとしたフィーゴに向かってスタンドから豚の頭が投げ入れられたのである。この騒動で15分間の試合中断となったこの試合は0-0のスコアレスドローに終わったが、試合内容よりもこの事件の印象ばかりが残ってしまうというものとなった。

極上のエンターテイメント

歴史的な関係から激しい憎悪の念と共にネガティブな部分もあった両チームだったが、近年はそれぞれがお互いのプライドをかけた極上のエンターテイメントとなっている。それを印象づけたのが05/06シーズンのクラシコ。ロナウジーニョが敵地サンチャゴ・ベルナベウで躍動。バルセロナが0-3と完勝した試合でサンチャゴ・ベルナベウのレアル・マドリードサポーターは圧巻のパフォーマンスを見せるロナウジーニョに対してスタンディングオベーションを行ったのである。
そしてその後バルセロナの監督にジョゼップ・グアルディオラが就任。圧倒的な強さを見せつけたバルセロナが計8回戦ったリーグ戦でのクラシコで6勝1分1敗と圧倒します。
しかしグアルディオラ退任後の12/13シーズンからは15/16シーズンの対戦までレアル・マドリードが3勝、バルセロナが4勝、引き分けが1とほぼ互角の戦い。
近年は世界最高峰の両チームによる熱い戦いが繰り広げられる試合として、世界中のサッカーファンが最も注目を集める一戦となっています。

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