プレミアリーグ第23節、首位アーセナルが本拠地エミレーツ・スタジアムに苦手チェルシー迎えての一戦はアーセナルが前半に退場者を出し0-1でチェルシーの勝利。またもやベンゲルはチェルシーから勝利を挙げる事ができなかった。
ここ2試合引き分けが続くものの首位の座を守っているアーセナル。アーセナルはチェルシーを苦手としており、6節の対戦でも調子の上がらないチェルシー相手に2-0で敗戦しているが、現在のチェルシーはヒディンク監督就任後は無敗を保っているものの失点は減っておらずとても調子が上がっているとはいえない状態。その為現地ではアーセナル優位との報道も目立っていた。
アーセナルのメンバーはエジルが戻りトップ下、右にキャンベル、左にウォルコット、ワントップにジルーが入る4-2-3-1。ベンチにはアレクシス・サンチェスも戻ってきている。
一方のチェルシーは監督交代後にプレーのキレを取り戻しつつあるディエゴ・コスタがワントップに入りセスクがトップ下、右にウィリアン、左にオスカル、中盤センターをミケルとマティッチが組む4-2-3-1となりアザールはベンチスタートとなっている。
エジルが中盤センターの脇でボールを受け、そこからサイドに人数をかけてチャンスを作ろうとするアーセナルと、セスクが下がってボールを受けカウンター気味にチャンスを作ろうとするチェルシーがどちらも持ち味を見せようとする試合の立ち上がり。
キックオフ早々にアーセナルが左サイドで人数をかけ流れてきたキャンベルのクロスからチャンスを作り、またチェルシーもオスカルのカットインからシュートを放つ等両チーム共まずまずの立ち上がりを見せる。
しかしこのまま緊迫した一戦になるかと思われた18分、この試合を大きく動かすプレーが発生する。
アーセナルが攻め込みウォルコットがクロスを入れるとそのボールがチェルシーの選手に当たる。そのプレーに対してアーセナルの選手がハンドを主張している中でこぼれ球はウィリアンの元に。自陣ボックス付近でボールを拾ったウィリアンに対し、モンレアルが不用意に飛び込み外されるとチェルシーのカウンターが発動。そして最終的にはウィリアンのスルーパスに抜けだしたディエゴ・コスタをメルテザッカーが背後から倒してしまい一発退場。試合の序盤にアーセナルが10人と数的不利の状況になってしまう。
CBが欠けた事でベンゲル監督はエースストライカーのジルーに代えてガブリエルを投入。おそらくエジルの守備の負担も考えての事だったと思われるが、結果的にはこの交代も試合のポイントとなってしまった。
そしてこの退場直後の23分、チェルシーはセスクが空けたスペースにマティッチが出て来て左足クロス。このクロスをディエゴ・コスタは合わせられなかったが右に流れたボールをイヴァノヴィッチが再び折り返し、今度はディエゴ・コスタがガブリエルの前で合わせてゴール。チェルシーが先制する。
相手は10人、しかも先制ゴールを決めたということでかなり優位な状況となったチェルシー。アーセナルが4-4-1で守る形となりチェルシーがボールを保持する時間は増える事となったが、チェルシーは現在の状況を象徴するようにとても安定しているとはいえない姿を見せる。
アーセナルがボールを持っている時にチェルシーは4-4-2でしっかりとブロックをつくるものの、ブロックの中に簡単にボールを入れられる。前半アディショナルタイムにはラムジーの浮き球パスを3列目からボックス内に入ってきたフラミニにフリーで合わされてしまうというあわやの場面も作られてしまう。
後半56分にチェルシーはセスクの個人技でボックス内に侵入、コシェルニーに倒されPKでもおかしくない場面を作るが主審のジャッジはノーファール。
アーセナルは直後にアレクシス・サンチェスを投入しチェルシーの不安定なディフェンスの前に何度もチャンスを作るがチェルシーは最後の所で人数をかけブロック。
チェルシーは67分にディエゴ・コスタが負傷でレミーと交代、さらに76分にはオスカルに代えてアザールを投入し前掛かりになるアーセナルの裏をついて試合を決めにかかる交代策をみせるが、人数が少ないアーセナルに簡単にボールを運ばれ押し込まれる展開に。
しかしアーセナルにはボックス内で仕事ができる選手が足りず決めきれないまま試合は終了。結果論だが、後半にはもしジルーがいればと思わせる状況が何度もあっただけにアーセナルにとって悔しい敗戦となった。
アーセナルはこの敗戦で前日に勝利をあげていたレスター、引き分けながらも得失点差で上回るマンチェスター・シティに抜かれ3位に後退。勝てない試合ではなかっただけに苦い敗戦となった。
一方のチェルシーはこの勝利で13位と順位を1つアップ。ヒディンク監督就任後のリーグ戦6試合を2勝4分と無敗を守ったが、試合内容としてはとても満足できるものではなく、さらにキレを取り戻してきているディエゴ・コスタが負傷交代となった事でまだまだ不安が解消されたとは言い難い状態が続いている。