2016年のメジャーリーグが、現地時間の4月3日に開幕しました。
今年の開幕戦は、ワールドシリーズで激戦を繰り広げた、昨年の覇者カンザスシティ・ロイヤルズとニューヨーク・メッツの注目の好カードがありました。日本人選手では、今年からMLBのロサンゼルス・ドジャースにポスティング移籍した前田健太投手に注目が集まっています。怪我からの復帰を期待されている、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手も楽しみなところです。
年々、日本人選手が海外に挑戦し活躍する昨今ですが、私個人として10年来のお付き合いのある、日本人選手にとってMLB挑戦のパイオニア野茂英雄氏の功績を改めて痛感しています。
野茂氏の代名詞といば、「トルネード投法」そして、「フォークボール」でしょう。
89年のドラフトでは史上最多の8球団からのドラフト指名。そして、当時の近鉄バッファローズに入団し、翌年から4年連続で最多勝、最多奪三振を獲得するなど、目覚ましい活躍をします。
そして、94年にメジャーリーグに挑戦します。現在、前田投手の所属するロサンゼルス・ドジャースのマイナー契約からの「挑戦」でした。
当時はまだ、日本人選手の評価がメジャーリーグでも認められていない中、トルネード投法から繰り出される、フォークボールと力強いストレートで名だたる外国人選手から次々に三振を奪っていくシーンが今でも記憶にあります。
1年目は13勝をあげ、最多勝、新人王を獲得。そして日本人初となる、オールスターでの先発を務めました。
当時、バリー・ボンズは「あんな投手みたことない」と話し、サミー・ソーサは「あんな打ちにくいフォークは初めてだ」と語りました。当時のクリントン大統領は「野茂は日本からの最高の輸出品だ」と称賛しました。
2年目には、標高が高く、ボールが良く飛びバッターズヘブンと言われるコロラド・ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドでノーヒットノーランを達成します。(ロッキーズは直近の7試合すべて2桁安打、平均得点は10点)
その後にアメリカン・リーグでもノーヒットノーランを達成します。両リーグでのノーヒットノーランは当時、メジャーリーグ史上5人目の快挙でした。
日本人のMLB初ホームランも野茂氏が記録しました。
以降、チームを渡り歩きながら、2000年にはデトロイト・タイガースで開幕投手も務め05年には日米通算200勝を達成し、08年引退を迎えました。
野茂氏の挑戦以後、数多くの日本人選手がメジャーリーグに挑戦しています。
現在も、マイアミマーリンズのイチロー選手。ニューヨーク・ヤンキース田中投手。ボストン・レッドソックス上原投手、田沢投手。シアトル・マリナーズ岩隈投手、青木選手。テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手。ロサンゼルス・ドジャース前田投手がメジャーリーグの舞台に立っています。
野茂氏の「夢をあきらめるな」という言葉と精神が、今日の日本人選手のメジャーリーグ挑戦を築いていることでしょう。
そんな、数多くの日本人選手が挑戦している本場のベースボールを、是非とも現地で観戦してもらいたく思いつつ、私自身もまた観戦したく思っています。