フィギュアスケート歴史やルール ※豆知識

◎フィギュアスケート

※イメージ画像


☆2016年5月18日 WSCスタッフ呟き☆

2006年トリノでの荒川静香選手の金メダル以来、継続的に高い人気を保っているフィギュアスケート。高橋大輔選手、羽生結弦選手の出現で男子も当たり前にメダルを期待される競技となり、技術の進化も止まらない競技だが、今回はその歴史やルールを少し掘り下げてみたい。

フィギュアスケートの起源

スケートの発祥ははっきりとはしていないが、人類が文字を使用する以前の先史時代には北欧ですでに動物の骨をブレードにしたスケート靴があったと言われている。それが、運河の多いオランダに伝わり、オランダでは運河の上を早く移動するためのスケートだったが、貴族たちの間で優雅さなどを重んじた芸術的なスケートが生まれた。その後、スコットランドに伝わり図形を描きながら滑る技術が愛好家に研究され、一方でフランスやドイツでは芸術的な動作が研究されていった。

1742年にイギリス・スコットランドで最初にスケーティングクラブが設立されたあと、各国がそれに続き、それぞれ独自の形態でフィギュアスケート競技会も行われるようになった。1882年にはじめてフィギュアスケートの国際大会がウィーンで開催され、1892年には国際スケート連盟が創立され、1896年から世界選手権が開催されるようになった。ただし、このときは男子シングルのみで、1906年に女子シングル、1908年にはペアの競技でそれぞれ個別に世界大会が開かれるようになった。アイスダンスは1952年になってはじめて世界選手権の種目に加わった。

日本のフィギュアスケート発祥地は羽生選手の出身地でもある宮城県仙台市の五色沼とされているが、時期に関しては諸説あり、1922年にはじめて公式試合が下諏訪リンクで行われた。

オリンピックは、1908年の夏季(!)オリンピックで初めて実施され、この大会と1920年大会のみ夏季で開催されている。1924年からは毎回冬季オリンピックで実施されている。

現在のフィギュアスケート用のスケート靴

フィギュアスケートでは専用のスケート靴を使用する。

スケート靴は革もしくはプラスチック製の「靴」の部分と、ブレードと呼ばれる「刃」の部分からなり、重さは約2kgもある。ブレード直接氷に接する部分をエッジと呼び、エッジの厚さは3-4mm 程度で中央には溝が入っている。フィギュアスケート用のブレードは先がギザギザになっているのが特徴で、このギザギザの部分をトウといい、ジャンプやスピンなどで使用する。アイスダンスではトウの部分が小さくかかと部分が短いブレードを使用することもある。

ISUが定めたフィギュアスケート用スケートリンクの国際規格は最大60m×30m、最小56m×26mで、ISU主催の国際大会では屋内リンクを使用する。アメリカのNHLで使用されるリンクは200フィート×85フィート(約61m×26m)なのでISUの規格からは外れるが、国内競技会ではISUの規格に則る必要はない。

競技会ルール

男子と女子のシングルでは、ジャンプ・スピン・ステップシークエンス・スパイラルなどが技術的な構成要素となる。ペアではさらにスロージャンプ・リフト・ツイストリフト・デススパイラルが加わり、アイスダンスではジャンプやリフトなどに制限がある一方、ステップシークエンスにより重点がおかれる。要素ごとにさまざまな種類があり、その難易度に応じて配点(基礎点)が定められている。

ジャンプの種類は簡単な順に次の6種類がある。

・トウループ→円を描きながら踏み切るのと同時に反対のトウを突いて跳ぶジャンプ
・サルコウ→跳ぶ直前に両足をハの字に開くような感じでインサイドエッジで踏み切るジャンプ
・ループ→円を描くような感じで踏み切り、反対のトウを突かずに跳ぶジャンプ
・フリップ→空中での回転方向と同じ方向のターンから左足エッジに右足のトウを突いてインサイドエッジで踏み切るジャンプ。アウトサイドエッジやニュートラルエッジで踏み切るとエッジエラーで減点となる
・ルッツ→後ろ向きの助走から、跳び上がる瞬間に反対のトウを突きアウトサイドエッジで踏み切るジャンプ。インサイドエッジやニュートラルエッジで踏み切るとエッジエラーで減点となる
・アクセル→前向きに踏み切るジャンプ。前向きに踏み切り後ろ向き着氷のため他のジャンプより半回転多く回る

ジャンプの回転が1/4回転以上1/2回転未満不足していると判断された場合、「アンダーローテーション」とされ、ジャンプの基礎点が本来の70%に減点され、回転が1/2回転以上不足していると判断された場合は「ダウングレード」とされ、トライした回転数のジャンプより1回転少ない同じ種類のジャンプの基礎点が与えられる。

スピン、ステップなどのジャンプ以外のすべての要素は、1から4までのレベルによって判定される。それぞれの要素のレベルは、ISUが規定する工夫(要素への入り方など)がいくつ含まれているかによって決まり、行われた工夫が基準を満たしているかどうかをジャッジが判定し、認められた場合のみレベル獲得要件として数えられる。

また、演技審判によって0をベースとし-3から+3の7段階で要素のできばえが評価され、「できばえ点」とも呼ばれるGOE(Grade of Execution)が各要素の基礎点に加算される。羽生選手が世界最高得点を獲得した演技では、ほとんどの要素のGOEが+3であり、高いレベルで接戦となった場合GOEで+3を取れるかどうかはかなり重要となる。

演出的要素

競技会におけるフィギュアスケートの衣装は、スポーツ競技にふさわしい品位を保ったものでなければならず、初期の男子は礼装に近い黒の背広にネクタイだった。徐々に舞台衣装のように視覚効果を重視したデザインや色、素材のものを着るようになったが、男子は長ズボンの着用が義務付けられており、競技においては過剰な露出や小道具の使用は禁止されている。

シングルやペアの女子はジャンプなどの際に邪魔にならないよう、レオタードにフリル(スカートに見える部分)を組み合わせた衣装を着用することが多く、アイスダンスではフリル丈が長い傾向がある。2005/06シーズン以降、女子選手のスカート着用義務が廃止され、パンツルックで演技する女子スケーターも増えている。

過剰な露出はNGというISUの規定とリンク内の寒さのため、肌の色に近い生地を用いて、ワンショルダーや露出の多い服装に見えるような工夫も多く見られる。そのほか照明の下で映えるよう光沢のあるサテンやレザーといったさまざまな生地やスパンコールなども用いられ、バレエなど舞台芸術関連の業者が制作したり、フィギュアスケート衣装を専門とする業者もある。また選手の家族などが手作りしたり、先輩スケーターから譲り受けたりすることもあり、浅田真央選手がジュニア時代に伊藤みどりさんのジュニア時代の衣装を着たことがあるのは有名な話である。

音楽については、歌詞付きの音楽はアイスダンスでのみ認められていたが、2014/15シーズンからはすべての競技で使用が認められ、多くの選手が歌詞付きの音楽を使用している。規定の時間内で演技しなければならず、動きの停止と音楽を規定時間に合わせて編集される。

エキシビションでは上記のような制約はなく小道具の使用も可能だが、競技では演出的要素に違反があったとジャッジにみなされると減点を受けることとなる。そのほかの減点対象は下記の通り。

転倒→1回につき -1.0点
時間超過または不足→5秒につき -1.0点
バックフリップ(バク転)などの禁止されている要素→1つにつき -2.0点
小道具使用などの衣装の違反→-1.0点
ペア要素での落下→1回につき -1.0点
10秒以上の中断→10秒につき -1.0点(やむをえない場合は除く)

まとめ

観戦歴の長いファンにとっては当たり前の内容かもしれないが、観戦初心者にとっては、会場の盛り上がりと実際の得点にギャップがあったり、その理由が分かりにくい採点競技のフィギュアスケート。このようなルールを一部でも理解することで、観戦をより楽しいものにできるだろう。

新シーズンも羽生結弦選手、浅田真央選手など日本人選手の活躍を大いに期待したい。

<羽生結弦選手 グランプリシリーズ予想

クリック

2017年フィギュアスケート世界選手権 結果>

クリック

TOP

MENU